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〒519-4442 三重県熊野市神川町神上63
神川町神上字奥地から碇谷へこえる小さな峠に山寺権現伏拝(ふしおがみ)と称する小祠があります。昔、碇(いかり)尼寺の尼さんが近くの谷川で水を汲んでいると、不意に一体のご神像が天降ってきて手にしていた柄杓(ひしゃく)につきあたりました。
尼さんはびっくりして思わず「ああ勿体ない」と叫ぶとともに直ちにそれを拾いあげましたが、どうしたはずみか首がぽっかりと欠けてしまいました。
「これは大変」とばかり、あわててそれをつぎあわせましたが、あまりにあわてたためか首を後ろ向きについでしまいました。が、尼さんにはどうすることもできないので、そのままそれをささげてもって、この伏拝(ふしおがみ)の山上にあった大きなヒノキの木の根もとに祀りました。
それがこの祠(ほこら)のはじまりで、その後何百年かのち、ご神体は今の上山神社の位置に移され、山寺大権現と尊崇されることになったので、元の鎮坐地は伏拝と呼ばれるようになりました。また、山寺権現に参ったときは前うしろから拝む風習がありますが、これは首のうしろむいたご神体を祭っているからだと言われています。
(「伝説の熊野」 平八州史著より)
〈上山神社〉